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うつの夫や妻を支えるのに疲れた - 限界のサインと離婚を考える自分を責めない

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うつの夫や妻を支えるのに疲れたと感じてよい理由

朝起きられない夫の代わりに子どもを送り出し、仕事から帰れば夕食を作り、寝る前には「自分なんかいないほうがいい」という言葉を聞く。そんな日が何か月も続けば、支える側が疲れ切るのは当然です。疲れたと感じることは、愛情が足りない証拠でも、看病の仕方が間違っている証拠でもありません。

うつ病の治療は、良くなったり戻ったりを繰り返しながら進むことがあり、終わりの日付が見えません。支える側は、家事と育児と家計と本人の気分の波を一人で受け止め、その上で「病人を責めてはいけない」と自分の怒りを飲み込みます。体のけがの看病と違って、相手が感謝や回復の手応えを返してくれる場面も少ないため、注いだ力がどこに届いているのか分からなくなります。うんざりする、顔を見るのがしんどい、離婚という言葉が浮かぶ。どれも、長く続く消耗が行き着く先として説明のつく反応です。

大切なのは、疲れを根性で消そうとしないことです。消耗には段階があり、段階ごとに打てる手と頼れる先が変わります。今どこにいるのかが分かれば、「まだ頑張れる」と「もう限界だ」の二択から抜け出す手がかりになります。うつ病そのものの基本や、パートナーがうつになった直後の心構えは別の記事にまとめてあります。

限界のサインはどこに出るのか - 消耗の 4 段階と頼り先

支える側の消耗は、ある日突然限界が来るのではなく、体、感情、考え方の順に少しずつ表に出てきます。次の表は、出やすいサインを 4 つの段階に並べ、それぞれの段階で頼る先と、やめてよいことを組にしたものです。当てはまる行がいちばん下にあるものを、今の段階として見てください。

段階出やすいサイン頼る先やめてよいこと
1 張り詰めている本人の様子が気になって仕事に集中できない / 休日も家を空けられない / 自分の予定を入れなくなる本人の主治医に家族として話を聞く機会をもらう / 事情を知る人を 1 人つくる本人の気分を毎日読み当てること
2 体に出ている寝つけない、夜中に目が覚める / 食欲が落ちる、または食べ過ぎる / 頭痛や胃の不調が続く自分のかかりつけ医 / 職場の産業医や相談窓口家事を毎日きちんと回すこと / 実家や義実家への完璧な報告
3 感情に出ている本人の言葉にいら立って声を荒らげる / 顔を見るのがしんどい / 家に帰る足が重い心療内科や精神科を自分のために受診する / 公的な電話相談怒った自分を責め続けること / 本人の回復を自分の成果として背負うこと
4 考え方に出ている離婚や別居を毎日考える / 自分が消えたいと思う / 何をしても無駄だと感じる自分の受診をすぐに予約する / 24 時間の電話相談 / 信頼できる家族に同居や手伝いを頼む一人で結論を出すこと / 本人に悟られないように平気なふりを続けること

表で見落とされやすいのは、2 段階目です。支える側は「疲れているのは気のせい」「病気なのは相手のほう」と考えて、自分の睡眠や食欲の変化を後回しにします。けれど、眠れない日が続く時は、支える側の心身にも手当てが要るという合図として受け取ってください。この段階で自分のかかりつけ医に相談しておくと、3 段階目に進む前に手を打てることもあります。

3 段階目の怒りは、支える側をいちばん苦しめます。病気だと頭では分かっているのに、何もしない姿を見るといら立ち、そのいら立ちを感じた自分を責め、責めた分だけさらに疲れる。この循環の中にいる時は、自分の怒りを消そうとするより、怒りを外に出せる場所を持つほうが先です。本人の前で抑えた言葉を、医師やカウンセラーや友人の前でなら口にしてよいのです。

4 段階目に「自分が消えたい」という考えが入っている時は、表の他の欄より先に、24 時間つながるよりそいホットラインか、自分自身の受診につないでください。支える側の命と健康は、看病を続けるための条件そのものです。

病気の症状と相手の性格はどう見分けるのか

支える側を混乱させるのは、「これは病気のせいなのか、それとも元からこういう人なのか」が分からないことです。病気のせいなら責めてはいけない、性格なら言ってもいい。そう線を引きたくなりますが、境目は家族の目からは見えにくく、診断や見立ては主治医の領域です。それでも、受け止め方を決めるための目安はあります。

見る点病気の影響として受け止めやすい病気とは別に話し合う余地がある
いつから調子を崩した時期と重なって始まった発症のずっと前から同じだった
治療との関係通院や休養で波が小さくなっている体調が良い日も変わらない
中身やる気が出ない / 決められない / 楽しめない / 自分を責める言葉が増えたあなたの行動を細かく管理する / 人格を否定する言葉をぶつける

左の列に当てはまる言動は、本人の意思で止められるものではないと受け止めたほうが、支える側の怒りは小さくなることがあります。家事をしない、返事をしない、休日に寝てばかりいるといった姿は、怠けではなく、動くための力が出ない状態として見るほうが実態に近いはずです。

一方で、右の列は病気があっても見過ごしてよいものではありません。また、表とは別に考えたいのが、暴言が続く、物に当たる、物を壊す、手を上げるといった行動です。これはうつ病の有無とは関係なく、あなたの安全の問題です。その場合は主治医に家族として伝えるとともに、DV 相談ナビ (#8008) に相談してください。身の危険を感じる時は、距離を取って構いません。命や体に危険が迫っている時は、迷わず 110 番に電話してください。

うつの症状は、職場では取り繕えていても、家でだけ無気力やいら立ちとして出ることもあります。家での様子だけを見て、性格か病気かを家族が決める必要はありません。見分けがつかない時に役立つのが、主治医の診察に家族として同席させてもらうことです。本人の同意を得た上で、「家ではこういう様子です」「この言動は病気の影響と考えてよいですか」と聞けば、医師の目から見た見立てを知ることができます。家族だけで抱えていた判断を、専門家と分け合える場になります。

離婚を考える自分を責めなくていいのか

病気の配偶者を置いて離れたいと考えるのは、ひどい人間のすることだ。そう思うほど、離婚という言葉が浮かぶたびに強い罪悪感が湧きます。けれど、離婚を考えることと、離婚を決めることは別の出来事です。考えが浮かぶのは、今の暮らしが自分の力を超えているという知らせであり、その知らせを受け取ること自体に善悪はありません。

問題になるのは、知らせを無視し続けることと、限界の最中に結論を出してしまうことの両方です。消耗した頭は、選択肢を「今すぐ別れる」か「一生このまま耐える」かの両極端にしか見せません。その間には、看病の負担を減らす手、一時的に距離を置く手、期限を決めて様子を見る手が並んでいます。

結論の前に試せる選択肢

選択肢向いている場面気をつけること
家事や育児を外に出す疲れの中心が家の仕事の量にある浮いた時間を別の用事で埋めず、自分の休養に充てる
親族に一時的に同居や通いを頼む夜の見守りや子どもの世話が一人で回らない頼む相手にも期間と役割をはっきり伝える
本人に実家で休んでもらう本人の実家に受け入れる力があり、主治医も反対しない見捨てたという形にせず、治療のための休養として話す
期限を決めて別居する同じ家にいると互いに悪化している生活費や子どもの扱いは、法的な面を弁護士に確かめてから
離婚を前提に専門家へ相談する病気の前から関係が壊れていた / 暴力や暴言がある決めるのは自分の睡眠と体調が戻ってからでも遅くない

表の上から順に試す必要はありません。ただ、どの選択肢も「自分が倒れないため」という目的で選んでよいものです。自分を守る選択は、本人を見捨てる選択とは違います。

もう一つ気をつけたいのは、離れたい気持ちを打ち消すために、さらに看病に打ち込もうとする反応です。相手の機嫌や回復が自分の価値を決めるようになると、関係は共依存に近づき、自分の感情が分からなくなっていくことがあります。離れたいと思った日は、その気持ちを否定せず、医師やカウンセラーや信頼できる人に「離婚まで考えてしまう」とそのまま話してください。口に出すと、その考えがどれほど切実なものかを、自分でも測りやすくなることがあります。

離婚の条件や手続き、病気が離婚の判断にどう関わるかは、家庭の事情によって大きく変わるため、一般論では答えが出ません。考えが具体的になってきたら、弁護士や自治体の法律相談で、自分の場合を確かめるのが確実です。

子どもがいる家、共働きの家で負担をどう減らすか

同じ「配偶者がうつ」でも、家の形によって支える側にかかる重さの種類が違います。

小さな子どもがいる家

たとえば、妻が産後から調子を崩して寝ている時間が長くなり、夫が仕事と保育園の送り迎えと夜泣きの対応を一人で抱えている、という場面です。この家で最初に削るべきなのは、支える側の睡眠を削っている用事です。自治体の子育て支援の窓口に事情を話すと、一時預かりや家事の手伝いの仕組みを案内してもらえることがあります。子どもには、年齢に応じて「お母さんは病気で休んでいる。あなたのせいではない」と短く伝えるだけでも構いません。子どもの前で平気なふりを続ける必要はなく、「お父さんも疲れているから、今日は簡単なごはんにするね」と言えるほうが、子どもが安心することもあります。

学齢期の子どもがいる家

小学生や中学生がいると、子どもが自分から家事や親の世話を引き受けはじめることがあります。助かる反面、子どもが友人と遊ぶ時間や勉強の時間を削っていないかには目を配ってください。子どもを支える側の相棒にしないよう気をつけてください。担任やスクールカウンセラーに家の事情を一言伝えておくと、学校での様子の変化に気づいてもらえることがあります。

共働きで、配偶者が休職している家

たとえば、夫が休職して家にいて、妻がフルタイムで働きながら家計と家事を支えている、という場面です。この家で支える側を追い詰めるのは、収入への不安と「家にいるのに何もしてくれない」という不公平感です。収入については、本人の勤め先の休職の制度や健康保険の給付を、本人の同意を得て人事や健康保険の窓口に確かめると、漠然とした不安を具体的な数字で考えられるようになることがあります。不公平感については、本人ができることを「1 日 1 つ」の小さな単位で頼み、できなかった日は責めないと決めておくと、期待と失望の振れ幅が小さくなることがあります。

職場に事情を言えないまま働き続けると、支える側の消耗は外から見えなくなります。勤め先の産業医や相談窓口、働く人向けのこころの耳 (働く人の電話・SNS 相談) を使えば、勤務の調整や自分の不調について、家族の事情を含めて相談できます。

子どもがいない二人暮らしの家

二人だけの家では、支える側の逃げ場が少なくなりがちです。本人の気分がそのまま家の空気になり、外に出る理由がないと、何日も二人きりで過ごすことになります。週に一度でも、決まった時間に家を出て、本人と関係のない人と話す予定を固定しておくと、自分の感覚を取り戻す足場になることがあります。

支える側が一人で抱えないための相談先

家族の病気を支える人が使える相談先は、本人のための窓口とは別にあります。「自分は病気ではないから」と遠慮する必要はありません。支える側の疲れは、それだけで相談してよい理由です。

  • こころの健康相談統一ダイヤル: 住んでいる地域の公的な相談窓口につながります。受付時間あり。
  • こころの耳 (働く人の電話・SNS 相談): 仕事と看病の両立に悩む時に使えます。受付時間あり。
  • よりそいホットライン: 24 時間つながり、夜中に限界を感じた時にも話を聞いてもらえます。

受付時間が決まっている窓口につながらない夜や休みの日は、よりそいホットラインに電話するか、つながる窓口から、今の時間に話せる先を探してください。各地の保健所や精神保健福祉センターでも、家族向けの相談や家族会の案内をしていることがあります。同じ立場の人の話を聞くと、自分の疲れが特別なものではないと実感できることもあります。

本人が「死にたい」「消えたい」と口にした時や、その気配を感じた時は、一人で受け止めずに主治医へ連絡し、#いのちSOS やいのちの電話にも相談してください。家族が相談してもかまいません。

支える側の疲れは、介護の現場でいうバーンアウトや、人の苦しみに寄り添い続けて起きる共感疲労とも重なります。介護する人が自分の心を守る方法や、人の苦しみを聞き続けて動けなくなる状態からの戻り方も、配偶者を支える立場にも当てはまる部分があります。本人と話す時の負担を減らしたい場合は、否定せずに話を聴くやり方を知っておくと、毎日の会話で消耗する量が変わることがあります。

疲れたと感じた日にできる最初の一歩は、表の 4 段階のどこに自分がいるかを決め、その行の「頼る先」から一つだけ連絡することです。予約の電話でも、友人への短いメッセージでも構いません。支える人を支える手を、自分の側にも用意してください。

この悩みに合う相談窓口

受付の表示は日本時間で、祝日は考慮していません。ほかの窓口はいまつながる相談窓口で見られます。

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