タブーと偏見

恋人や友人が大麻をしていると知ったら - 通報か距離か、自分を守りながら決める

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恋人や友人が大麻をしていると知ったら - 最初に守るのは相手ではなく自分

彼氏の部屋で見てしまった。友人が酔った勢いで打ち明けた。グループの中で、自分だけが知らなかったと気づいた。相手を警察に突き出す気にはなれない。けれど、知ってしまった以上、知らなかったころには戻れない。知った後に何をどう決めるかを、この記事で順番に置いていきます。

いちばん先に伝えたいのは、順番です。あなたが最初に守るのは、相手ではなく自分です。相手をやめさせることは、あなたにはできません。できるのは、自分が巻き込まれない線を引くこと、そのうえで通報するか、距離を置くか、関係を切るかを選ぶこと、そして相手が自分でやめようとしたときに、相談先を知っていることです。この順番を逆にして、相手を救おうとする人が、いちばん消耗し、いちばん巻き込まれます。

法律の話を 1 つだけしておきます。大麻は、麻薬及び向精神薬取締法で麻薬として扱われ、持つことも使うことも禁じられています。「海外では合法」「酒より害が少ない」という相手の言葉がどうであれ、日本の法律の上ではそうなっています。この記事では、使い方や手に入れ方や捕まらない方法には一切触れません。扱うのは、知ってしまったあなたの安全と、決め方だけです。

何を先に守るのか - 巻き込まれない 4 つの線

通報するかどうかを考える前に、今日から引ける線があります。相手との関係をどうするかとは別に、この 4 つは全員に当てはまります。

線なぜ必要か相手への言い方
使っている場に同席しないその場にいるだけで、あなたも調べを受けたり疑いの目を向けられたりする立場になり得る「使うなら、私はその場にいない。帰る」
預からない、運ばない、買う手伝いをしない預かれば、あなたの所持として扱われる。車に乗せる、お金を立て替えるといった手伝いも、手助けをしたと疑われる立場になり得る「何を頼まれても、それだけは持たない」
自分の家に持ち込ませない自宅にあるものについては、住んでいるあなたも説明を求められる立場になり得る「うちには絶対に持ってこないで」
自分の名義、口座、車を使わせない名義を貸すと、何に使われたかを知らなくても説明を求められる立場になり得る「名義も口座も、理由を聞かずに全部断る」

4 つの線は、相手を見捨てることではありません。相手の行為の結果を、あなたが引き受けないという線です。恋人や親しい友人ほど、「少しだけなら」「今日だけなら」と頼まれる場面が増えます。断る理由は毎回説明する必要がなく、「それは持たない」と同じ言葉を繰り返すだけで足ります。説明すると、説明の穴を探されます。

もう 1 つ、知った直後にしないほうがよいことがあります。相手のものを勝手に捨てることです。善意であっても、あなたがそれを手に持った時間が生まれます。自分は触らず、どうすればよいかを警察相談専用電話 (#9110) に相談してください。

通報か、距離か、別れるか - 自分の安全と相手の回復で比べる選択肢

選択肢は 3 つです。どれを選んでも、あなたが悪いわけではありません。選ぶときの軸は、「自分の安全」と「相手の回復」の 2 つです。この 2 つは、いつも同じ方向を向いているわけではありません。

選択肢自分の安全相手の回復向く状況
通報する巻き込まれる状況から離れられる。相手に恨まれる可能性はあるやめる機会になる人もいる。本人が望まなければ関係は壊れる自宅に持ち込まれた、売り買いに関わっている、他の人に広げている、子どもが近くにいる
距離を置く4 つの線を守れば、ある程度は保てる変わらない。本人が困るまでは動かない友人関係で、相手の生活に深く関わっていない
関係を切る、別れるいちばん高いあなたにはできないことを、あなたが引き受けない形恋人や同居相手で、線を伝えても守られない
やめるよう頼み続ける低い。頼むたびに同席し、知っている人になる低い。頼まれてやめた人は、頼んだ人の前で隠すようになる向く状況はほとんどない。次の節で理由を書く

通報は、いちばん重く感じる選択肢ですが、いちばん分からないことが多い選択肢でもあります。「通報したら相手はどうなるのか」は、状況によって違い、この記事では見通しを書きません。確かなのは、通報するかどうかを決める前に、相談ができるということです。警察相談専用電話 (#9110) は、事件の届け出ではなく相談の窓口で、「こういう状況で、どうすればよいか」を聞くことができます。緊急の危険があるときは、相談ではなく警察に通報してください。

通報を迷う人のために、判断の材料を 3 つ置いておきます。1 つ目、子どもや未成年が近くにいるか。相手の行為があなただけの問題でなくなっているなら、迷いは減ります。2 つ目、相手が車を運転しているか。使った状態で運転する人を知っていて黙っていることは、第三者を危険に置くことです。3 つ目、相手が他の人に勧めているか。使うだけの人と、広げる人は、あなたが背負える範囲が違います。この 3 つのどれかに当たるなら、相談の窓口に電話する理由としては十分です。

距離を置く選択肢は、友人関係では現実的です。連絡は返す、会う回数は減らす、使う場には行かない。関係を切る宣言をする必要はなく、4 つの線を守るだけで、相手のほうが距離を取ることもあります。恋人や同居相手の場合、距離を置く選択肢は成り立ちにくく、別れるか、線を守らせるかの二択になります。

別れる、関係を切る選択肢を選ぶとき、「見捨てた」という気持ちが残ります。けれど、あなたが引き受けていたのは、相手の行為の結果であって、相手の人生ではありません。相手のために生きることをやめることと、相手を見捨てることは別です。別れるときに言うのは、説得でも説教でもなく、「私はこれを一緒に抱えられない」の一文で足ります。

相手が脅す、暴力をふるう、「言ったらどうなるか分かっているな」と口止めをしてくる。そうなったら、選択肢を比べる話はいったん置いて、身の安全を先にしてください。今まさに危険があるなら、迷わず警察に通報します。恋人や同居相手からの暴力や脅しは、DV 相談ナビ (#8008) で最寄りの配偶者暴力相談支援センターにつながります。別れを伝えるときも、二人きりの部屋ではなく、人のいる場所か電話で、その夜に帰れる場所を先に確かめてからにしてください。

なぜ「やめさせる」はうまくいかないのか - やめるのは本人だけという線

知った直後に多くの人が選ぶのは、表の 4 行目、「やめるよう頼み続ける」です。泣いて頼む、約束させる、見つけては捨てる。これが効かないのは、あなたの説得が弱いからではありません。

やめられないのは意志の弱さではない、という考え方は、依存を扱う分野で共有されています。本人が困り、本人が決めるまで、外からの圧力は隠す技術を育てるだけです。頼まれてやめた人は、頼んだ人の前で隠すようになります。すると、あなたは「知っている人」から「見張っている人」になり、相手にとって、いちばん嘘をつく相手になります。この位置は、あなたの安全も、相手の回復も、両方を悪くします。

では何もできないのかと言えば、1 つだけあります。条件を伝えることです。「やめなさい」ではなく、「使うなら一緒にいない」。これは説得ではなく、あなたの行動の予告です。相手がやめるかは相手が決め、あなたが一緒にいるかはあなたが決める。この分け方だけが、消耗せずに続けられる関わりです。

相手が「もうやめた」と言ったときの扱いも、決めておいてください。信じるか疑うかの二択にすると、どちらも苦しくなります。やめたという言葉は受け取り、線はそのまま残す。「そう言ってくれてうれしい。でも、使う場に私がいないのは変わらない」。確認のために相手の荷物を調べることは、あなたを見張る人に戻してしまうので、しないほうがよいです。

相手が自分でやめたいと言ったときは、精神保健福祉センターという公的な相談機関があり、本人だけでなく家族の相談も受けています。そのときに連絡先を渡せるように、名前だけ覚えておいてください。あなたが代わりに予約を取る必要はありません。

誘われたときの対処法

相手が使っていると知った後、「一回だけ」「ばれないから」と誘われることがあります。そのときの断り方は、相手を否定しないほうが通ります。相手の行為を批判すると議論になり、議論は長引くほど断りにくくなります。

使える言葉は 3 つの型です。1 つ目は、自分の事情にする型。「私は仕事上、絶対にできない」「家族に心配をかけられない」。2 つ目は、興味の問題にする型。「興味がない。それより別のことをしよう」。3 つ目は、線の宣言にする型。「それは私の中でない選択肢。誘うのはこれで最後にして」。どの型も、相手の是非には触れていません。触れないから、相手は反論の足場を失います。

断っても誘いが続く、断ると機嫌が悪くなる、という相手なら、その関係はもう友人関係や恋人関係の形をしていません。前の節の選択肢に戻って、距離か、関係を切るかを選んでください。

そして、もし一度使ってしまった自分を責めてこの記事を読んでいるなら、責めることと隠すことに時間を使うより、相談に使ってください。精神保健福祉センターは本人の相談も受けています。こころの健康相談統一ダイヤル (0570-064-556) でも、つながる先を案内してもらえます。誰にも言えない秘密の重さは、持っている時間に比例して増えます。

知った後の最初の一歩

今夜、通報するか別れるかまで決める必要はありません。決めるのは 2 つで足ります。1 つ目、4 つの線のうち、今日から守るものを言葉にする。「使う場にはいない」「うちには持ち込ませない」。2 つ目、話す相手を 1 人決める。相手のことを誰にも言えないまま抱えると、あなたの側が追い詰められます。身近に話せる人がいなければ、24 時間つながるよりそいホットライン (0120-279-338) があり、こころの健康相談統一ダイヤル (0570-064-556) は地域の公的な相談先につながります。相手をどうするかを警察に相談したいなら、警察相談専用電話 (#9110) です。迷ったら、つながる窓口のページで今つながる相談先を探してください。

知ってしまったことは、あなたの落ち度ではありません。知った後に自分を守る線を引くことも、相手を見捨てることではありません。相手の人生は相手のもので、あなたの安全はあなたのものです。その 2 つを分けて持つことが、今夜からできる、いちばん確かな一歩です。

この悩みに合う相談窓口

受付の表示は日本時間で、祝日は考慮していません。ほかの窓口はいまつながる相談窓口で見られます。

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