対人関係

モラハラの相手から離れられない - 自分を責めずに準備を始める順番

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離れられない自分を責める前に

夫に「誰のおかげで暮らせていると思っているんだ」と言われた夜、荷物をまとめかけて、結局また棚に戻した。彼氏に別れ話を切り出したら、泣いて謝られて、翌週には元の扱いに戻っていた。モラハラの相手から離れられずにいる人は、その場面のたびに「自分は弱い」「自分にも悪いところがある」と自分を責めてしまうかもしれません。

けれども、離れられないのは意志の弱さの証拠ではありません。足を止めているものには、お金、子ども、相手への情、相手への恐怖、そして「悪いのは自分だ」という思い込みの少なくとも 5 つの種類があり、どれが強いかは人によって違います。お金が理由で動けない人に「勇気を出して」と言っても役に立たず、恐怖が理由の人に「早く決断を」と迫れば危険を増やしかねません。必要なのは決断ではなく、自分の足を止めているものに合った小さな一歩です。

もう一つ知っておいてほしいのは、離れることと準備することは別だという点です。離れると決めていなくても、記録をつける、相談先を一つ知っておく、自分名義のお金を少し確保するといった準備は始められます。準備を進めておけば、いつか離れると決めた日に、選べる道が増えています。

モラハラかどうか迷う段階なら、「有害な関係の見分け方 - モラハラ / ガスライティングのサインと逃げ方」にあるモラハラのサインと安全に離れる手順を先に。

モラハラの相手から離れられない心理とは - 理由ごとの小さな一歩

離れられない理由は、たいてい一つではなく重なっています。それでも「いちばん強いのはどれか」を一つ選ぶと、最初の一歩を決めやすくなることがあります。下の表の左の列を読み、いちばん胸に引っかかる行を探してください。

足を止めているもの頭の中で聞こえる声今週できる小さな一歩今は避けたい動き
お金「自分の収入だけでは暮らせない」「口座もカードも相手が管理している」自分名義の口座があるか確かめる。毎月の生活費の総額を把握する相手の口座から黙って大きな額を動かす
子ども「子どもから父親や母親を奪いたくない」「転校させたくない」子どもの前で起きた言動を記録に残す。学校や保育の相談先を一つ調べる子どもに「どっちと暮らしたい?」と選ばせる
情「優しいときの姿が本当のあの人だ」「出会った頃に戻れるはず」優しかった日と責められた日を、同じ記録に並べて書く相手が変わると約束した日に、準備を全部やめてしまう
恐怖「別れ話をしたら何をされるか分からない」「家まで追ってくるかもしれない」相談窓口に、離れたい気持ちより先に「怖い」と伝える一人で別れ話を切り出す。逃げる日を相手に知らせる
自分が悪いという思い込み「怒らせる自分が悪い」「私が我慢すれば丸く収まる」言われた言葉を一字一句そのまま書き留め、友人が言われたらどう感じるかで読み直す相手に「私が悪いのか」と確かめる

お金の行で大切なのは、今すぐ貯金を増やすことではなく、現状を知ることです。家計の総額、自分名義の口座の有無、相手名義のローンの連帯保証人になっていないか。分からないことが分かるだけでも、相談したときの話が具体的になることがあります。離婚まで視野に入るなら、財産分与や養育費の基礎知識を一度読んでおくと、弁護士や窓口に何を聞けばよいかが見えてきます。

情の行は、責める必要のまったくない理由です。相手には本当に優しい時間もあり、きつい言葉との繰り返しがトラウマボンドになっていることもあります。ただ、情があることと、その関係にとどまることは同じではありません。記録に両方を並べると、優しさがどのくらいの間隔で、何の後に来ているかが見えてきます。

思い込みの行は、自分では気づきにくい理由です。「怒らせる自分が悪い」という考えは、長いあいだ同じ言葉を浴び続けた結果として作られたもので、生まれつきの性格ではありません。相手が事実をねじ曲げ、あなたの記憶を疑わせるような言い方を繰り返しているなら、自分がおかしいと思わされる心理操作についての記事も参考になります。

準備はどの順番で進めればいいのか

準備には、記録、お金、相談先、住む所の 4 つがあります。おすすめの順は、相手に気づかれにくいものから、気づかれると困るものへ、です。

順番準備すること気づかれにくくする工夫夫と恋人で違う点
1 記録言われた言葉、日時、場所、その場にいた人。物を壊された跡や、送られてきたメッセージの画面共有の端末に残さない。職場の机や信頼できる人に預ける、または相手が開けない場所に保存する夫の場合は、後の話し合いや手続きで材料になりやすい。恋人の場合も、つきまといが起きたときの相談で役に立つ
2 お金自分名義の口座、当面の生活費、身分証や保険証や通帳の置き場所の確認郵便物が自宅に届かない形にできるか、窓口で相談する夫の場合は、別居中の生活費の取り決めが話し合いの対象になる。同棲の恋人の場合は、家賃や家具の名義を確かめておく
3 相談先DV 相談ナビ (#8008) や DV 相談プラス、地域の配偶者暴力相談支援センター、身近な信頼できる人発信の履歴を消す。相談先の名前を登録するときは別の名前にするDV 相談プラスは、配偶者だけでなくパートナーからの暴力も相談の対象にしている。「彼氏だから対象外」と決めつけない
4 住む所実家、友人の家、賃貸の候補、窓口が案内する一時的な避難先引っ越し先の住所を相手と共通の知人に伝えない夫と住民票が同じ住所にある場合は、住民票の写しなどから居場所を知られないようにする手続きを使えるか窓口で確かめる。恋人の場合も、つきまといがあれば同じ窓口に相談してよい

記録がいちばん先なのは、ほかの 3 つの土台になるからです。相談に行ったとき、「なんとなくつらい」より「先月、人前で 3 回怒鳴られた」のほうが、窓口の人も次の手を考えやすくなることがあります。記録は完璧でなくてかまいません。日付と一行のメモだけの日があっても十分です。

相談先は、離れる日を決めてから探すものではありません。離れるかどうか迷っている段階で一度つながっておくと、いざという日に一から説明し直さずに済むこともあります。DV 相談ナビ (#8008) は最寄りの相談機関につながる番号で、受付時間があります。夜中や休みの日にどうしても話したいときは、よりそいホットラインのように時間を問わずつながる窓口もあります。番号の一覧はつながる窓口にまとめています。

手続きや法律の細かい点は、弁護士や窓口で確かめるのが確実です。家を出る日の動き方は、冒頭で挙げた「有害な関係の見分け方」の後半と、暴力の支配から安全に抜け出すための知識に。

準備に気づかれた時の動き方

どれだけ気をつけても、記録のメモや見慣れない通帳が相手の目に触れることはあります。気づかれた瞬間に大事なのは、言い訳の上手さではなく、自分の身の安全を先に確かめることです。相手の反応によって、取るべき動きは変わります。

相手の反応読み取れることその場での動き
不機嫌になり、数日口をきかない支配が崩れることへの苛立ち。すぐの危険は低めでも、記録は続けたい準備を全部やめると決めなくてよい。保存場所だけ変えて続ける
「出ていくつもりか」と問い詰め、スマホや財布を取り上げる連絡や移動の手段を断とうとしている。危険が上がっている一人で反論を重ねない。相談窓口に、取り上げられたことを含めて早めに伝える
泣いて謝り、「変わるから」と約束する関係を元に戻すための動き。きつい言葉と優しさの繰り返しの一部であることもある約束は受け取っても、準備はやめない。約束の後の数週間を記録で確かめる
物を壊す、殴るそぶりを見せる、「死ぬ」「殺す」と口にする身の危険がある段階その場を離れ、110 番に電話する

最後の行に当たるときは、迷わず 110 番に電話してください。命や体に危険が迫っているときに、警察へ通報するのは大げさではありません。差し迫ってはいないけれど、つきまといや脅しのような言葉が続いていて警察に相談したいときは、警察相談専用電話 (#9110) が窓口になります。

気づかれたときに「準備なんてしていない」とうそをつくべきか、迷う人もいるはずです。正解は一つではありませんが、相手を言い負かそうとしないことだけは共通しています。「少し不安になって、自分のお金を確かめたかった」のように、相手を責めない言い方で短く切り上げ、その日のうちに保存場所を移すほうが安全です。相手の言葉の勢いに押されて、預けていた記録の場所や相談先の名前まで話してしまわないようにしてください。

恋人の場合は、別れ話を切り出した後に家へ押しかけてくる、職場に連絡してくるといった形で危険が表に出ることもあります。夫の場合は、生活費を渡さない、子どもの前で責めるといった形で圧力が強まることがあります。どちらの場合も、起きたことを日付つきで残しておくと、窓口や警察に相談するときの材料になります。

一度戻ってしまったのは失敗なのか

実家に身を寄せたのに、相手の「もう二度としない」という言葉を信じて家に戻った。別れたはずの彼氏から連絡が来て、気づけばまた会っていた。戻った自分を「やっぱり離れられない人間なんだ」と責める気持ちは、とても自然です。けれども、戻ったことは失敗ではなく、まだ準備が足りなかったという情報です。

戻った後に見直したいのは、何が戻る決め手になったかです。お金が尽きそうだったのか、子どもが寂しがったのか、相手の謝罪に心が動いたのか、一人の夜が怖かったのか。決め手が分かれば、これから整える準備がはっきりします。

戻る決め手になったもの厚くしておきたい準備
お金が続かなかった離れた後の数か月の生活費の見通し。使える支援を窓口で先に聞いておく
相手の謝罪と約束過去に同じ約束がされた日を記録で確かめる。約束の後に何が起きたかを並べる
一人でいる不安や寂しさ離れた後に話せる人を一人決めておく。夜につながる窓口を手元に控える
子どもへの影響子どもの様子を相談できる先を、離れる前から見つけておく
相手の脅しや追跡警察や DV 相談ナビ (#8008) に、前回の経緯を含めて相談する

戻った後も、記録とお金の準備は続けてかまいません。むしろ一度離れた経験は、持ち出す物や頼れる人が実際にどうだったかを知る機会になっています。前に相談した窓口に「一度戻ってしまった」と連絡するのは恥ずかしいことではなく、窓口の人にとっても状況を知るための大切な情報です。

戻った後に相手のきつさが前より増していると感じるなら、それは自分の気のせいではない可能性があります。離れようとした人を取り戻した後に、支配を強める相手もいるからです。前回より怖いと感じたら、その感覚を信じて相談を急いでください。

離れると決めていなくても、相談は始めていい

相談窓口は「別れると決めた人」だけのものではありません。「これはモラハラなのか分からない」「離れたいのに体が動かない」という段階の話も、そのまま聞いてもらえます。DV 相談ナビ (#8008) は住んでいる地域の相談機関につながり、DV 相談プラスはチャットでも相談できます。声を出せない環境にいる人は、文字で相談できる窓口から始めると負担が小さくなることがあります。

最初の一歩は、表の中から一つだけ選べば十分です。言われた言葉を今日の分だけ記録する、自分名義の口座を確かめる、窓口の番号を相手に見られない場所に控える。どれか一つができた日は、離れられない自分のままでも、準備は確かに一歩進んでいます。番号と受付の状況はつながる窓口で確かめられます。

この悩みに合う相談窓口

受付の表示は日本時間で、祝日は考慮していません。ほかの窓口はいまつながる相談窓口で見られます。

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