天気で体調が崩れる人の 4 つのタイプ - 気象病は頭痛だけではない
同じ天気で違う症状が出る
雨が近づくと頭が痛くなる人がいます。同じ日に、別の人は古い骨折の跡が痛むと言い、また別の人は一日中眠くて動けないと言います。誰もが同じ天気を経験しているのに、体に出る場所が違う。
こうした天候に伴う不調は、まとめて気象病と呼ばれます。ただしこの呼び名は原因ではなく「天気に反応して出る不調」という括りを指すだけなので、ひとまとめに扱うと違いが見えなくなります。頭痛の対策を読んでも眠気には効かず、眠気の話は関節の痛みには届きません。ここでは天候に反応する不調を 4 つの型に分け、それぞれで何が起きているのかを整理します。自分がどの型かが分かれば、備える場所も変わります。
タイプ 1 頭が痛くなる
最も知られているのがこの型です。天気が崩れる数時間前から、こめかみや後頭部が重くなり、痛みが出ます。
関わっているのは血管の反応です。外の気圧が下がると、頭蓋の周辺の血管はわずかに広がる方向へ動きます。血管の壁には感覚を伝える神経が分布しており、拡張によって神経が引き伸ばされると、拍動に合わせた痛みとして感じられます。
この型に当てはまる人の多くは、天候に関係のない場面でも頭痛を起こしやすい傾向があります。もともとの頭痛の体質に、気圧の変化が引き金として加わる構図です。したがって備えの方向は、天気を気にすることより、日常の頭痛を起こしにくい状態を作ることになります。睡眠不足と脱水、長時間の同一姿勢は、いずれも痛みの出やすさを上げます。
タイプ 2 古傷や関節が痛む
手術の跡、骨折した部位、慢性的に痛みのある膝や腰が、天気が崩れる前に痛み出す型です。
関節は内部に液体を含む閉じた空間で、周囲を膜が包んでいます。外の気圧が下がると、内部の圧力が相対的に高くなり、膜や周囲の組織がわずかに膨らみます。この微細な変形が、痛みを伝える神経を刺激すると考えられています。傷跡の周辺では組織の構造が変わっており、圧力の変化に対する感度が高くなっている場合があります。
この型の特徴は、痛む場所が毎回同じという点です。天気が変わるたびに違う場所が痛むのであれば、別の要因を考えたほうがよいでしょう。また、この型では気圧が下がりきった後より、下がっていく途中で痛みが強くなる傾向が報告されています。変化の途中が最もつらいという体感は、圧力差が最大になる時期と重なります。
タイプ 3 眠気とだるさが抜けない
痛みは出ないが、天気が悪い日はとにかく眠く、体が重い。この型は「怠けている」と誤解されやすく、本人も自分を責めがちです。
ここで働いているのは光と自律神経の 2 つです。曇天や雨天では屋外の明るさが晴天の数分の一まで落ちます。朝の強い光は体内時計を進め、覚醒を立ち上げる役割を持つため、光量が足りない朝は目覚めの立ち上がりが鈍くなります。
加えて、気圧の低下に対応する過程で自律神経の切り替えが不安定になります。交感神経と副交感神経のバランスが揺れると、日中に眠気が出たり、逆に夜に寝つけなくなったりします。眠気とだるさが一日を通して続くのは、この 2 つが重なった結果です。
この型で効くのは、天気に対する備えではなく光の確保です。曇りの日でも屋外の明るさは室内より格段に高いため、朝のうちに外に出るだけで違いが出ます。窓際で過ごす時間を作るのも同じ方向の対応です。
タイプ 4 気分が沈む
体の痛みや眠気ではなく、気分そのものが落ちる型です。理由が思い当たらないのに憂鬱になり、天気が回復すると自然に戻ります。
気分の調整には光が深く関わります。日中に受ける光の量が減ると、気分の安定に関わる神経伝達物質の働きが変わり、意欲や集中の維持が難しくなります。これは季節単位でも起きる現象で、日照時間が短い時期に気分が落ちる人がいるのは同じ仕組みです。天候による短期の落ち込みは、その縮小版と考えることができます。
この型で注意したいのは、天候と無関係に落ち込みが続く場合との区別です。天気が回復しても戻らない、朝の落ち込みが特に強い、以前は楽しめたことに何も感じない、といった状態が 2 週間以上続くなら、天候の影響として様子を見るより医療機関で相談してください。
自分の型を見分ける記録の取り方
4 つの型のどれに当てはまるかは、記録を取れば数週間で見えてきます。書き留めるのは 4 項目だけです。
- 日付と時刻: 症状に気づいた時刻。天気が変わる前か後かを判断する材料になります
- 症状の場所と種類: 頭・関節・眠気・気分のどれか。複数なら全部書きます
- そのときの天気: 晴れ・曇り・雨。翌日の天気も分かれば書き添えます
- 前日の睡眠と水分: 症状を強めた要因が別にあるかを切り分けられます
2 〜 3 週間続けると、症状と天気が本当に連動しているかが分かります。連動していれば、予報を見て予定を調整する判断ができます。連動していなければ、天気以外の要因を探す手がかりになります。この切り分け自体が、原因が分からないことによる不安を減らします。
型ごとに違う備え方
記録で型が見えたら、備える場所を絞ります。頭痛の型なら睡眠と姿勢、関節の型なら該当部位を冷やさず動かしておくこと、眠気の型なら朝の光、気分の型なら日中の活動量です。すべてに万遍なく対応しようとすると続かないため、自分の型に効く 1 つか 2 つに絞るほうが現実的です。
共通して効くのは、変化が来る前に整えておくことです。天気が崩れると分かっている日の前夜に夜更かしをしない、水分を意識して取る、予定を詰め込まない。気圧そのものは変えられませんが、引き金が引かれたときの発火しやすさは調整できます。季節の変わり目に不調が出るときの対処と共通する部分も多く、年単位の波と日単位の波を同じ視点で扱えるようになります。
そして、周囲に説明する言葉を持つことも実務的な備えです。「天気が悪いと調子が出ない」では伝わりにくくても、「気圧が下がる前に頭痛が出る型で、記録を取ると連動している」と言えれば、話が通じる相手は増えます。自分の不調に輪郭があると、扱い方も変わります。