座り仕事で固まった股関節とお尻をほどく - 痛みが出る前の動かし方
痛くなる前に硬くなっている
夕方に立ち上がると、腰の下あたりが重い。歩き出すまでに数歩かかる。まだ痛みではないが、明らかに動きが渋い。
この段階で対処すると、後の痛みを避けられる可能性があります。すでに痛みが出ている場合は原因の見極めが先になりますが、硬さだけの段階なら、動かすことがそのまま対策になります。
要点は、どこが縮んでいるかを知ることです。座る姿勢は、特定の部位を一定の長さに固定し続けます。座り続けることでお尻の筋肉が働きを忘れ、その仕事が腰や腿の裏に回っていく状態には座り尻症候群という呼び名があり、夕方の重さはその入口にあたります。
座位で縮む部位はどこか
椅子に座った状態を横から見ると、股関節と膝が曲がっています。この形が数時間続くと、曲げる側の筋肉は短い状態に慣れ、伸ばす側は引き伸ばされたまま働かなくなります。
短くなる代表が、脚の前面から骨盤の内側につながる筋群です。腿を持ち上げる働きを持ち、座位では常に縮んだ状態になります。ここが硬くなると、立ったときに骨盤が前へ引かれ、腰の反りが強くなります。夕方の腰の重さは、この引っ張りから来ている場合があります。
働かなくなる代表が、お尻の筋群です。座っているあいだは体重で押しつぶされ、収縮する機会がありません。歩行や立ち上がりで本来使うべき筋が休んでいる状態が続くと、その分の仕事が腰や腿の裏に回ります。
もうひとつ、お尻の深い層にある筋も硬くなりやすい部位です。ここが硬くなると、近くを通る神経が影響を受けて、お尻から脚にかけての違和感につながることがあります。
席のまま動かせる範囲
離席しにくい環境でも、座ったままできる動作があります。効果は立って行うより小さいですが、頻度を確保できる利点があります。
- お尻を締める: 座面に座ったまま、左右のお尻の筋肉を交互に締めて緩める。10 回ずつ。押しつぶされて休んでいる筋に収縮の機会を与えます
- 骨盤を前後に倒す: 背もたれから離れて座り、腰を丸める形と反らせる形をゆっくり往復する。5 往復。腰周りの動きを取り戻します
- 膝を伸ばす: 片脚を前に伸ばし、つま先を自分の方へ引く。腿の裏が伸びる感覚があれば十分。左右 20 秒ずつ
- 足首を回す: つま先で円を描く。ふくらはぎの筋が動き、脚の血流が保たれます
- 座り直す: 深く座り直して、体重のかかる位置を変える。同じ場所に圧が続く状態を切ります
どれも数十秒で終わります。完璧にやることより、1 時間ごとに何かひとつやることのほうが効果があります。この短さは習慣化の面でも有利で、思い出したときにその場で終えられる動作は、やる気の量に左右されにくくなります。
立ち上がったときにやること
離席できる場面では、縮んだ部位を実際に伸ばします。
最も効果が分かりやすいのは、脚の前面を伸ばす動作です。壁に手をついて立ち、片脚を後ろへ引いて、その脚の付け根を前に押し出す。腿の前から付け根にかけて伸びる感覚があれば当たっています。左右 20 〜 30 秒ずつ。
次に、お尻を伸ばす動作です。椅子に座った状態で片方の足首を反対の膝に乗せ、上体を前に倒す。お尻の外側が伸びます。立って行う場合は、片脚を台に乗せて上体を倒す形でも同じ部位に届きます。
そして、歩くこと。数分歩くだけで、伸ばす動作より広い範囲が動きます。飲み物を取りに行く、階段を一階分だけ使う。予定に組み込むと続きます。
回数より頻度という考え方
この種の対策で挫折する最大の原因は、1 回の分量を大きく設定することです。
10 分のストレッチを毎日という設計は、忙しい日に落ちます。落ちた日が続くとやめてしまう。一方で、1 時間ごとに 30 秒という設計は、忙しい日でも実行できます。
硬くなる原因が「長時間同じ姿勢でいること」なら、対策は「姿勢が続く時間を短く区切ること」です。区切る回数のほうが、1 回の質より効きます。
実行を助ける仕組みとしては、時刻を決める方法があります。毎時 55 分に立つ、会議の合間に必ず立つ、飲み物を小さい容器にして取りに行く回数を増やす。続く形で体をほどく習慣を作る考え方を踏まえると、意志より仕組みで回数を確保するほうが確実です。
痛みが出ているときは分ける
ここまでは硬さの段階の話です。すでに痛みがある場合は、扱いを変えます。
お尻から脚の後ろにかけて、電気が走るような痛みや、しびれ、力の入りにくさがある場合、神経が関わっている可能性があります。この状態でお尻を強く伸ばすと悪化することがあり、自己判断で続けるべきではありません。
また、痛みが片側だけに強い、夜間に痛みで目が覚める、排尿や排便に変化がある、といった場合は、早めに整形外科で相談してください。
痛みの原因を見極める必要がある段階では、座り仕事で出るお尻の痛みの見分け方を確認して、当てはまる特徴があるかを見るほうが先です。動かして良い段階と、原因を確かめる段階は別のものとして扱ってください。
硬さだけの段階であれば、動かすことに副作用はほとんどありません。痛みが出る前に手を打てるのは、この段階だけです。夕方の重さに気づいたときが、始めるのに最も適した時期です。