職場いじめに対処する - 我慢し続けなくていい
職場いじめは被害者の問題ではない
「自分に原因があるのでは」「もっと頑張れば認めてもらえるのでは」。職場いじめの被害者は自分を責めがちですが、いじめは加害者の問題です。どんな理由があっても、人格を否定する言動や業務を妨害する行為は許されません。
職場いじめには、無視、仲間外れ、過剰な叱責、能力に見合わない単純作業への配置転換、私生活への干渉など多様な形態があります。共通するのは「継続的に行われる」という点です。一度の厳しい指摘と、繰り返される人格攻撃はまったく異なります。
自分を守るための 3 つの対処法
1. 記録を取る
いつ、誰に、何をされたか、目撃者は誰か。日時と具体的な内容を記録します。メール、チャットのスクリーンショットも保存します。記録は後に相談や法的対応をする際の重要な証拠になります。
記録の取り方にはコツがあります。メモは「5W1H」(いつ、どこで、誰が、誰に、何を、どのように) を意識し、感情ではなく事実を書きます。可能であれば社内メールや業務チャットでのやりとりをスクリーンショットで保存しましょう。クラウドストレージなど会社のシステム外に保存しておくと、退職後もアクセスできます。
2. 社内外の相談窓口を利用する
人事部、社内のハラスメント相談窓口、労働組合。社内で解決が難しい場合は、都道府県労働局や労働基準監督署に置かれている総合労働相談コーナー (無料)、弁護士への相談も選択肢です。一人で抱え込まないでください。
相談の際に「大ごとにしたくない」と感じるのは自然なことです。しかし相談は「告発」ではなく「自分を守る第一歩」です。匿名相談も可能な窓口が多いので、まずは情報を得るだけのつもりで問い合わせても構いません。
3. 逃げることは負けではない
異動願い、休職、転職。環境を変えることは「逃げ」ではなく、自分の心身を守る戦略的な判断です。壊れてからでは回復に時間がかかります。限界を感じる前に行動しましょう。環境を変えるかどうか迷うときは、職場の人間関係を扱った本が距離の取り方の選択肢を広げてくれます。
パワハラ防止法と法的な保護
2020 年 6 月に施行された改正労働施策総合推進法 (通称パワハラ防止法) により、すべての企業にパワーハラスメント防止措置が義務づけられました。大企業は 2020 年から、中小企業は 2022 年 4 月から適用されています。この法律により、企業は相談窓口の設置、事実確認の実施、被害者への配慮措置、再発防止策の実施が求められます。
つまり、いじめの訴えを受け止めずに放置する企業は、法律が定めた措置義務を果たしていないことになります。相談しても対応されない場合は、都道府県の労働局に設置されている「総合労働相談コーナー」に相談できます。相談は無料で、予約不要です。電話相談も可能で、匿名でも受け付けてもらえます。「大ごとにしたくない」という気持ちは理解できますが、記録と相談は「大ごとにする」ことではなく、「自分を守る」ことです。
よくある落とし穴: 我慢し続けること
「もう少し頑張れば状況が変わるかもしれない」と思い続けて数か月、数年が経つケースは少なくありません。しかし、加害者の行動が自然に改善することはほとんどありません。我慢している間に心身の不調 (不眠、食欲不振、動悸、涙が止まらないなど) が出始めたら、それは限界のサインです。
もう一つの落とし穴は「証拠がないから相談できない」という思い込みです。完璧な証拠がなくても相談は可能です。相談窓口は話を聞いた上で助言をくれる場所であり、裁判所ではありません。まず相談し、そこから記録の取り方を教えてもらうこともできます。
逃げるは最も賢い選択肢
職場いじめへの対処法として「転職」を挙げると、「逃げるのか」と批判されることがあります。しかし、心身の健康を犠牲にしてまで 1 つの職場にしがみつく合理性はありません。職場のいじめや嫌がらせは、国の労働相談窓口に寄せられる相談のなかでも、長年にわたって最も多い分類であり続けています。あなただけの問題ではありません。
転職は「逃げ」ではなく「環境の最適化」です。いじめのある職場で消耗し続けるよりも、自分の能力を正当に評価してくれる環境に移る方が、キャリアにとっても精神的にもはるかに建設的です。退職を決断する際は、在職中に転職活動を始め、経済的な安全網を確保してから動くことをお勧めします。
具体的な次の一歩
- 今日から記録をつける (手帳でもスマホのメモアプリでもよい)
- 最寄りの総合労働相談コーナー (各都道府県労働局などに設置。無料・予約不要で、電話相談も可能) に相談してみる
- 信頼できる人 (家族、友人、産業医) に状況を話す
- 心身に不調があれば、心療内科の受診を検討する
- 転職サイトに登録し、選択肢があることを確認する
まとめ
職場いじめには、記録を取り、相談窓口を利用し、必要なら環境を変える。あなたの心身の健康は、どんな仕事よりも大切です。一人で抱え込まず、今日できる小さな一歩から始めてください。