健康

手足のしびれの原因 - 神経障害から血行不良まで考えられる疾患

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しびれの種類と神経の仕組み

しびれには大きく分けて「感覚の異常」と「運動の障害」があります。感覚の異常には、ピリピリ・チクチクする異常感覚 (パレステジア)、触っても感じにくい感覚鈍麻、痛みを伴うしびれ (神経障害性疼痛) があります。運動の障害は、力が入りにくい、物を落としやすい、つまずきやすいなどの症状として現れます。

末梢神経は、脳と脊髄から全身に伸びる電気信号の伝達路です。感覚神経 (触覚・痛覚・温度覚を伝える)、運動神経 (筋肉を動かす指令を伝える)、自律神経 (血管や内臓を制御する) の 3 種類があります。これらの神経のどこかが圧迫、損傷、炎症を受けると、しびれとして症状が現れます。

手根管症候群 - 手のしびれの最多原因

手根管症候群は、手首の手根管 (骨と靭帯で囲まれたトンネル) 内で正中神経が圧迫される疾患です。手のしびれの原因として最も頻度が高く、有病率は一般人口の約 3-6% です。女性は男性の 3-5 倍多く、40-60 代に好発します。妊娠中、更年期、甲状腺機能低下症、糖尿病、関節リウマチがリスク因子です。

典型的な症状は、親指、人差し指、中指、薬指の親指側半分のしびれです。夜間や早朝に悪化し、手を振ると楽になる (フリックサイン) のが特徴です。進行すると母指球筋 (親指の付け根の筋肉) が萎縮し、ボタンをかける、ペンを持つなどの細かい動作が困難になります。手首の痛みやしびれの詳しい対処法は手首の痛みと手根管症候群で解説しています。

頸椎症と椎間板ヘルニア

頸椎 (首の骨) の変性疾患は、手や腕のしびれの重要な原因です。加齢により椎間板が薄くなり、骨棘 (骨のとげ) が形成されると、脊髄や神経根が圧迫されます。頸椎症性神経根症では、首から肩、腕、手にかけて片側のしびれや痛みが放散します。どの指がしびれるかで、圧迫されている神経根のレベルが推定できます。

頸椎症性脊髄症は、脊髄自体が圧迫される重症型です。両手のしびれ、巧緻運動障害 (箸が使いにくい、ボタンがかけにくい)、歩行のふらつきが特徴です。脊髄症が疑われる場合は MRI 検査が必要で、進行性の場合は手術が検討されます。

糖尿病性神経障害

糖尿病性末梢神経障害は、高血糖が長期間続くことで末梢神経が障害される合併症です。糖尿病患者の約 50% が何らかの神経障害を有するとされています。典型的には「手袋靴下型」と呼ばれる分布で、足先から始まり徐々に上行するしびれ・痛み・感覚鈍麻が特徴です。

初期症状は足の裏のしびれや灼熱感で、特に夜間に悪化します。進行すると感覚が鈍くなり、足の傷に気づかず感染症や壊疽に至るリスクがあります。HbA1c を 7% 未満に管理することが神経障害の進行予防に最も重要です。既に神経障害がある場合でも、血糖コントロールの改善により症状の進行を遅らせることができます。

ビタミン欠乏と栄養性神経障害

ビタミン B12 欠乏は、末梢神経障害の見落とされやすい原因です。B12 は神経の髄鞘 (ミエリン) の形成に不可欠で、欠乏すると手足のしびれ、歩行障害、認知機能低下が起こります。菜食主義者、高齢者 (胃酸分泌の低下による吸収障害)、メトホルミン服用者、胃切除後の患者はリスクが高いです。

ビタミン B6 の過剰摂取 (サプリメントで 200mg/日以上) も逆に神経障害を引き起こすことがあります。ビタミン D 不足も神経障害との関連が報告されています。ビタミン D 不足の影響についてはビタミン D 不足の症状と対策で詳しく解説しています。血液検査でビタミン B12、葉酸、ビタミン D の値を確認し、不足があれば補充することで症状が改善する可能性があります。

血行不良と冷えによるしびれ

血行不良は一時的なしびれの一般的な原因です。正座や足を組む姿勢で神経や血管が圧迫されると、一時的にしびれが生じますが、姿勢を変えれば数分で回復します。しかし、慢性的な血行不良は持続的なしびれの原因になります。

レイノー現象は、寒冷刺激やストレスにより手指の血管が過剰に収縮し、指が白くなり、しびれや痛みを伴う状態です。女性に多く、20-40 代に好発します。閉塞性動脈硬化症は、動脈硬化により下肢の血流が低下し、歩行時のふくらはぎの痛み (間欠性跛行) や足のしびれを引き起こします。冷え性の原因と対策については冷え性の原因と温活戦略も参考にしてください。

受診の目安と検査

以下の場合は速やかに医療機関を受診してください。突然の片側の手足のしびれ (脳卒中の可能性)、しびれが急速に広がっている、筋力低下を伴う、排尿・排便の障害がある、外傷後のしびれ。これらは緊急性が高い症状です。

緊急性は低いが受診が推奨される場合は、しびれが 2 週間以上持続する、日常生活に支障がある、原因が不明、糖尿病や自己免疫疾患の既往がある場合です。受診先は、手のしびれは整形外科または神経内科、足のしびれは神経内科または整形外科が適切です。検査は神経伝導速度検査、MRI、血液検査 (血糖、HbA1c、ビタミン B12、甲状腺機能) が行われます。

日常でできる改善策と予防

デスクワークによる手のしびれには、1 時間ごとに手首のストレッチを行います。手首を反らす・曲げるストレッチを各 15 秒、指を広げる運動を 10 回繰り返します。キーボードやマウスの位置を調整し、手首が過度に曲がらない姿勢を保ちます。エルゴノミクスキーボードやリストレストの使用も有効です

足のしびれには、ふくらはぎのストレッチ、足首の回旋運動、つま先立ちとかかと立ちの交互運動が血行を促進します。長時間の同じ姿勢を避け、30 分ごとに立ち上がって歩くことを習慣にします。冷えが原因の場合は、足湯、厚手の靴下、レッグウォーマーで保温し、適度な運動で全身の血行を改善します。ビタミン B 群 (特に B1、B6、B12) を含む食品 (豚肉、レバー、魚介類、卵) を積極的に摂取することも神経の健康維持に寄与します。しびれが持続する場合は自己判断で放置せず、早めに医療機関を受診して原因を特定することが重要です。

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