感情調節
自分の感情体験を認識し、その強度やタイミング、表現方法を状況に応じて適切に調整するプロセス。感情を抑圧することではなく、感情と上手に付き合う能力を指す。
感情調節とは
感情調節とは、自分が経験する感情の種類、強さ、持続時間、表現方法を、状況に応じて適切にコントロールするプロセスを指す。ここで重要なのは、感情調節は「感情を感じないようにすること」や「常に冷静でいること」ではないという点だ。怒り、悲しみ、恐怖といったネガティブな感情も、人間にとって必要な情報を伝えるシグナルである。感情調節とは、そのシグナルを受け取りつつ、感情に支配されるのではなく、感情を活用できる状態を維持することだ。
心理学者ジェームズ・グロスのプロセスモデルによれば、感情調節は複数の段階で行われる。状況を選択する (ストレスの多い場面を避ける)、状況を修正する (環境を変える)、注意を向け直す (別のことに意識を移す)、認知を変える (出来事の解釈を変える)、反応を調整する (感情表現を修正する) という 5 つの戦略だ。このうち、認知を変える戦略 (認知的再評価) が最も適応的であることが多くの研究で示されている。
感情調節の困難とその影響
感情調節がうまく機能しないと、日常生活のさまざまな場面で問題が生じる。些細なことで激しく怒る、不安が制御できずパニックに陥る、悲しみから抜け出せず日常が停滞する、あるいは逆に感情を完全に遮断して何も感じなくなる。感情調節の困難は、うつ病、不安障害、境界性パーソナリティ障害、物質依存など、多くの精神的問題の横断的な特徴として認識されている。
感情調節力を高めるには
感情調節力は、意識的な練習で向上させることができる。まずは自分の感情に気づく力を養うことが出発点だ。「今、自分は何を感じているか」を言語化する習慣をつける。次に、感情が高ぶったときに一呼吸おく「間」を作る練習をする。深呼吸、身体感覚への注意の転換、その場を一時的に離れるなど、自分に合ったクールダウンの方法を見つけておく。そして、感情を引き起こした出来事に対して、別の解釈がないかを検討する認知的再評価を試みる。これらのスキルは、マインドフルネスや認知行動療法の枠組みの中で体系的に学ぶことができる。
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