ボディニュートラリティ
自分の身体を「好き」とも「嫌い」とも評価せず、身体が果たしている機能や役割に感謝する考え方。ボディポジティブの次の段階として注目されている。
ボディニュートラリティとは
ボディニュートラリティとは、自分の身体に対して「大好き」とも「大嫌い」とも判断を下さず、中立的な立場をとる考え方だ。「ありのままの自分を愛そう」と呼びかけるボディポジティブ運動が広まる一方で、「自分の体を好きになれと言われても、正直そこまでは無理だ」と感じる人も少なくなかった。ボディニュートラリティは、そうした人たちに「好きにならなくてもいい。ただ、身体が自分のためにしてくれていることに目を向けてみよう」という、より現実的な選択肢を提示する。
この概念は、セラピストのアン・ポイリエが 2015 年頃に提唱したとされる。ボディポジティブが「すべての身体は美しい」と外見の価値を再定義しようとするのに対し、ボディニュートラリティは外見の評価そのものから距離を置く。鏡の前で「きれいだ」と言い聞かせる必要はない。その代わりに、「この足で今日も歩けた」「この手で料理ができた」「この体が疲れを感じてくれたから休もうと思えた」と、身体の機能に意識を向ける。
なぜ「好き」を強制しないのか
ボディポジティブの理念は素晴らしいが、長年にわたって自分の身体にコンプレックスを抱えてきた人にとって、「自分の体を愛せ」というメッセージはかえってプレッシャーになることがある。愛せない自分を責めてしまい、新たな自己否定のループに陥るのだ。ボディニュートラリティは、この問題を回避する。身体への感情を無理にポジティブに変えようとせず、「今日は自分の体が好きではないけれど、それでも構わない」と認めることを許容する。感情は日によって揺れるものであり、常にポジティブでいる必要はない。
身体との新しい関係を築く
ボディニュートラリティを実践するとは、身体を「見た目の対象」から「生きるための道具」へと捉え直すことだ。体重計の数字や鏡に映る姿ではなく、「今日、身体は何をしてくれたか」に注目する。深呼吸ができた、友人と笑い合えた、おいしいものを味わえた。こうした身体の機能への感謝を積み重ねることで、外見への執着が少しずつ薄れていく。これは自分の身体を無視することではなく、身体との関係を外見中心から機能中心へとシフトさせることだ。完璧な身体も、完璧な自己愛も必要ない。身体はただ、今日も自分を生かしてくれている。それだけで十分だと思えたとき、身体との関係はずっと楽になる。
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