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女性の老後資金は男性より多く必要 - 長寿リスクと年金格差を踏まえた準備

この記事は約 3 分で読めます 執筆 / 運営: ここもり

女性の老後が長い理由 - 平均寿命と健康寿命のギャップ

厚生労働省の 2023 年簡易生命表では、日本人女性の平均寿命は 87.14 歳で、男性の 81.09 歳を約 6 年上回っています。一方、日常生活に制限のない期間を指す健康寿命は生命表とは別に算定される指標で、2022 年時点の算定では女性が 75 歳台、男性が 72 歳台です。つまり女性は、平均すると 10 年以上を何らかの健康上の制限を抱えながら過ごすことになります。

この「平均寿命と健康寿命のギャップ」が、女性の老後資金を男性より多く必要とする最大の理由です。長く生きるということは、それだけ多くの生活費、医療費、介護費用が必要になるということです。さらに、配偶者に先立たれた後の単身生活期間も女性の方が長くなる傾向があります。

年金の男女格差 - なぜ女性の年金は少ないのか

厚生労働省が毎年度まとめている「厚生年金保険・国民年金事業の概況」では、厚生年金の平均受給月額は男性が 16 万円台、女性が 10 万円台で推移しています。女性が受け取る年金は、男性の 6 割台にとどまるということです。

この格差の原因は複合的です。第一に、賃金格差。年金額は現役時代の報酬に連動するため、賃金が低ければ年金も低くなります。第二に、就労期間の短さ。出産・育児によるキャリア中断で、厚生年金の加入期間が短くなります。第三に、非正規雇用の割合の高さ。パートタイムで厚生年金に加入していない期間は、国民年金 (基礎年金) のみの受給となり、満額でも月額 7 万円ほどです。

国民年金だけで暮らすとなると、月 7 万円ほどで生活を組み立てることになり、現実には困難です。高齢の単身世帯では、家賃や光熱費、医療費を含めた支出が月 15 万円前後になることが多く、その水準で暮らすなら毎月 8 万円前後の不足が生じます。

老後資金の試算方法

老後資金の必要額は「(月間支出 - 月間収入) × 老後の月数 + 一時的な支出」で計算できます。具体的にシミュレーションしてみましょう。

65 歳で退職し、87 歳まで生きると仮定した場合、老後は 22 年間 (264 ヶ月) です。月間支出を 15 万円、年金収入を 10 万円とすると、毎月の不足額は 5 万円。264 ヶ月 × 5 万円 = 1,320 万円が最低限必要な老後資金です。

これに加えて、住宅の修繕費 (200〜500 万円)、入院や手術に伴う医療費の自己負担、介護費用 (後述) を考慮すると、2,000〜3,000 万円が現実的な目標額になります。いわゆる「老後 2,000 万円問題」は、女性にとってはむしろ控えめな見積もりです。

iDeCo の活用 - 税制優遇を最大限に使う

iDeCo (個人型確定拠出年金) は、老後資金の準備に最も税制優遇が大きい制度です。掛金が全額所得控除になるため、月額 23,000 円 (年間 276,000 円) を拠出すると、その分がまるごと課税対象から外れます。年収 300 万円前後で所得税率が 5% の場合、住民税 10% とあわせて年間 4 万円ほど税負担が軽くなります。

運用益も非課税で、受取時にも退職所得控除や公的年金等控除が適用されます。30 歳から月額 23,000 円を 35 年間積み立て、年利 3% で運用した場合、65 歳時点で約 1,700 万円になります (元本 966 万円 + 運用益 734 万円)。

注意点は、原則 60 歳まで引き出せないことです。流動性が必要な資金は別途確保した上で、老後資金専用として iDeCo を活用しましょう。老後の資金計画を立てる際は、年金受給額の見込みを「ねんきんネット」で確認することから始めましょう

NISA の活用 - 柔軟な資産形成

2024 年から始まった新 NISA は、年間投資枠 360 万円 (つみたて投資枠 120 万円 + 成長投資枠 240 万円)、生涯投資枠 1,800 万円で、運用益が恒久的に非課税です。iDeCo と異なり、いつでも引き出せる柔軟性が最大のメリットです。

老後資金の準備には、つみたて投資枠で全世界株式インデックスファンドに月額 3〜5 万円を積み立てるのが王道です。35 歳から月額 3 万円を 30 年間、年利 4% で運用した場合、65 歳時点で約 2,080 万円になります。NISA の基本的な仕組みと始め方を理解しておくことで、資産形成の選択肢が広がります。

iDeCo と NISA は併用可能です。まず iDeCo で税制優遇を最大限活用し、余裕があれば NISA で追加の積立を行うのが効率的な戦略です。

介護費用への備え

介護にかかるお金は、住宅改修や介護用品といった一時的な出費と、月々の自己負担が積み上がっていく分の二つに分かれます。月々の負担が数万円で、それが数年にわたって続くと考えると、合計では 500 万円台を見込んでおくのが安全です。介護は始まる時期も続く期間も読めないため、金額を確定させるより「幅を持って構えておく」ことが備えになります。

公的介護保険で自己負担は原則 1 割 (一定以上の所得がある場合は 2〜3 割) ですが、それでも月額数万円の負担が発生します。特別養護老人ホームの入居費用は月額 5〜15 万円、有料老人ホームは月額 15〜30 万円が相場です。

介護費用の備えとしては、老後資金の中に 500〜600 万円を介護費用として確保しておくことが現実的です。民間の介護保険は保険料が高額になりがちなため、まずは貯蓄で備え、余裕があれば検討する程度で十分です。

年代別の準備ステップ

20 代は「知る」ことから始めましょう。ねんきんネットに登録し、将来の年金見込額を確認する。iDeCo の口座を開設し、少額 (月額 5,000 円) からでも積立を始める。30 代は「加速」の時期です。iDeCo の掛金を可能な限り増額し、NISA での積立も開始する。育児でキャリアを中断する場合も、iDeCo の積立は継続しましょう。40 代は「見直し」の時期です。ねんきん定期便で年金見込額を再確認し、不足額を計算する。資産配分を見直し、リスクとリターンのバランスを調整する。50 代は「仕上げ」の時期です。退職後の生活費を具体的にシミュレーションし、不足があれば追加の積立や支出の見直しで対応する。貯蓄の習慣を維持しながら、老後に向けた資産の取り崩し計画も立てておきましょう。

まとめ - 女性こそ早めの準備が必要

女性は男性より長く生き、年金は少なく、介護期間も長い。この現実を直視した上で、iDeCo と NISA を活用した長期の資産形成に取り組むことが、安心して老後を迎えるための、もっとも確実な道です。「まだ先のこと」と思わず、今日から 1,000 円でも積立を始めることが、30 年後の自分を救います。

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