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子宮頸がんは予防できるがん - HPV ワクチンと検診の重要性

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子宮頸がんの原因 - HPV というウイルス

子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス (HPV) の持続感染が原因で発症するがんです。HPV は性交渉によって感染し、性経験のある女性の約 80% が生涯で一度は感染するとされる非常にありふれたウイルスです。HPV には 200 種類以上の型がありますが、子宮頸がんの原因となるのは「高リスク型」と呼ばれる約 15 種類で、特に 16 型と 18 型が子宮頸がんの約 65〜70% を占めます。HPV に感染しても約 90% は免疫の働きにより 1〜2 年以内に自然排除されます。しかし、約 10% の女性では感染が持続し、数年〜十数年かけて前がん病変 (異形成) を経て子宮頸がんに進行します。

HPV ワクチンの効果 - 9 価ワクチンで約 90% を予防

HPV ワクチンは、HPV の感染を予防することで子宮頸がんの発症を防ぐワクチンです。日本では 2023 年 4 月から 9 価ワクチン (シルガード 9) が定期接種の対象となりました。9 価ワクチンは HPV の 6、11、16、18、31、33、45、52、58 型に対する抗体を産生し、子宮頸がんの原因となる HPV 型の約 90% をカバーします。臨床試験では、ワクチン接種群で HPV 16/18 型による前がん病変の発症がほぼ 100% 予防されました。スウェーデンの大規模研究では、17 歳未満でワクチンを接種した女性の子宮頸がん発症リスクが 88% 低下したことが報告されています。

ワクチン接種の対象と時期

定期接種の対象は小学 6 年生〜高校 1 年生相当の女子で、公費 (無料) で接種できます。HPV は性交渉で感染するため、初めての性交渉前に接種するのが最も効果的です。接種スケジュールは、15 歳未満で開始する場合は 2 回接種 (0 ヶ月、6 ヶ月)、15 歳以上で開始する場合は 3 回接種 (0 ヶ月、2 ヶ月、6 ヶ月) です。キャッチアップ接種として、1997〜2007 年度生まれの女性 (接種機会を逃した世代) も 2025 年 3 月末まで公費で接種可能です。すでに性交渉の経験がある女性でも、まだ感染していない HPV 型に対する予防効果があるため、接種の意義はあります。

ワクチンの安全性 - 副反応の実態

HPV ワクチンの副反応として最も多いのは接種部位の痛み (約 80%)、腫れ (約 30%)、発赤 (約 25%) です。全身性の副反応としては、頭痛、発熱、倦怠感が数日間続くことがあります。日本では 2013 年に接種後の多様な症状 (慢性疼痛、運動障害など) が報告され、積極的勧奨が一時中止されました。その後、国内外の大規模疫学研究により、これらの症状とワクチンとの因果関係は認められないと結論づけられ、2022 年 4 月に積極的勧奨が再開されました。WHO も HPV ワクチンの安全性を繰り返し確認しています。

子宮頸がん検診の受け方

HPV ワクチンを接種していても、カバーされない HPV 型による感染の可能性があるため、定期的な検診は必須です。日本では 20 歳以上の女性に 2 年に 1 回の子宮頸がん検診が推奨されています。検診は子宮頸部の細胞を採取する「細胞診 (パップテスト)」が基本で、所要時間は数分です。自治体の検診では無料または低額で受けられます。近年は HPV 検査 (HPV の DNA を検出する検査) を併用する方法も普及しつつあり、細胞診単独よりも前がん病変の検出感度が高いことが示されています。生活習慣病の予防全般については、生活習慣病を防ぐための基本を解説した記事も参考になります。

異形成が見つかった場合の対応

検診で異常が見つかった場合、精密検査 (コルポスコピー検査と組織診) が行われます。異形成は軽度 (CIN1)、中等度 (CIN2)、高度 (CIN3) に分類されます。CIN1 は約 60% が自然退縮するため、3〜6 ヶ月ごとの経過観察が基本です。CIN2 も自然退縮の可能性がありますが、持続する場合は治療が検討されます。CIN3 は自然退縮の可能性が低く、子宮頸部円錐切除術 (子宮頸部の一部を円錐状に切除する手術) が標準治療です。円錐切除術は子宮を温存できるため、術後の妊娠も可能です。ただし、早産のリスクがわずかに上昇するため、妊娠時には慎重な管理が必要です。妊活に関する不安については、妊活と将来設計について考える記事も参考になります。子宮頸がんの関連書籍は Amazon でも探せます。

男性の HPV ワクチン接種

HPV は男性にも感染し、陰茎がん、肛門がん、中咽頭がんの原因となります。また、男性が HPV を保有していると性交渉を通じてパートナーの女性に感染させます。オーストラリア、アメリカ、イギリスなど多くの国では男女ともに HPV ワクチンの定期接種が行われており、集団免疫の効果で HPV 感染率が大幅に低下しています。日本では男性への定期接種は 2025 年時点で実施されていませんが、任意接種 (自費) は可能です。パートナーの健康を守る観点からも、男性の接種を検討する価値があります。不安への対処法については、不安を日常的にコントロールする方法を解説した記事も参考になります。HPV ワクチンの関連書籍は Amazon でも見つかります。

子宮頸がんは「予防できるがん」

子宮頸がんは、原因ウイルスが特定され、ワクチンで予防でき、検診で前がん段階で発見・治療できる、数少ない「予防可能ながん」です。オーストラリアでは HPV ワクチンの高い接種率と検診の普及により、2028 年までに子宮頸がんを「希少がん」(年間発症率 10 万人あたり 4 人未満) にできると予測されています。日本でも、ワクチン接種と定期検診の両輪で子宮頸がんを撲滅できる可能性があります。20 歳を過ぎたら 2 年に 1 回の検診を習慣にし、ワクチン未接種の方はキャッチアップ接種の機会を逃さないでください。

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